鉄道のダイヤの魅力
1.鉄道のダイヤグラムの作成事情
本ブログでは様々な鉄道のダイヤグラムに着目した記事を投稿しようと思っています。
鉄道のダイヤは、早朝の出庫、朝ラッシュ、昼、夕ラッシュ、終電付近、そして平日or土祝と時間帯や日程に応じて複雑に運用が変わっていきます。中には臨時列車を運転したり、臨時ダイヤが組まれたりすることもあります。
このように複雑なダイヤを組むのは、鉄道会社にとっても面倒で手間なのですが、もちろん理由があります。ダイヤは、
・旅客流動
・運転手・車掌の配置
・車両のやりくり
・車両の点検サイクル
・沿線人口や沿線自治体の特徴
・駅や線路の容量
・列車の性能
・カーブや勾配などの物理的制約
・鉄道会社の利益
など様々な要素が絡んで作成されています。
そして鉄道利用者にとって便利で、かつ利益に繋がるような運用を目指せるダイヤを組もうと思うと、自然と複雑なダイヤになっていくのです。
ダイヤがあまりに適当だと利用者にとっても不便ですし、鉄道会社も赤字を垂れ流すことになるでしょう。
例えば、コスト削減を重視するあまり列車本数を減らしすぎると、当然列車は混雑します。そうなると、その混雑っぷりに嫌気がさした利用者は、自家用車やバスを使う、そもそも外出しない、といった方向に流れその鉄道に乗らなくなることが考えられます。結果として鉄道会社は赤字になってしまうでしょう。
かといって、列車本数を過剰に増やすと、混雑は緩和し利用者は増えるかもしれませんが、列車の増備コストおよび多数の列車の運行経費、および人件費等がかさみ、これはこれで赤字になるでしょう。
つまりバランスが大事なのです。そして、客の利便性と会社の利益の双方を両立させ、かつ他の数多の要素や制約条件を考慮し、複雑なパズルを組み立てるかのようにして出来上がったダイヤは、一つの芸術作品ともいえるのです。と、同時に鉄道会社の最大の商品でもあるのです。
(ただ難しいのは、鉄道は利益を求める企業であるとともに、地域の足としての役割を担う公共的な役割も強いため、赤字路線だからといって安易に切り捨てる、といったことはなかなかできませんが…)
2.ダイヤを読み解く
さて、ここまでで、ダイヤが様々な事情を元に作成されていることがお分かりになったかと思います。これは逆に言うと、完成されたダイヤを考察し読み解くことで、その鉄道会社の考えがよく分かるのです。
たとえば、やたら通過駅が多い種別(新快速、特急など)が設定されていたとしましょう。これには、他社鉄道会社との競合、あるいは自動車やバス、航空機などとの激しい競合に負けないようにするために、速達性を重視し、利用客をライバルに取られないようにしよう、という意図が見えるでしょう。
他にも鉄道会社は不動産事業を持っていることが多いので、開発したい地域をダイヤ上優遇したり、時には新駅建設を考えたりすることもあるでしょう。
このようにダイヤからは様々なことが読み取れます。もちろん時代は常に変化しているため、定期的にダイヤ改正がなされます。これは時代の変化に適応するために、ダイヤをより適切なものに変えていくということです。つまり、ダイヤ改正の際には、旧ダイヤと新ダイヤを比較することで、様々な事柄が推察できるのです。さらに過去のダイヤの変遷をたどることで、その鉄道沿線の歴史までもが読み取れるのです。
このように様々な要素が絡まりあい、ある種の芸術ともいえるダイヤを読み解くことは
私にとって非常に好奇心そそられるものなのです。そして、ここまで読んでくださったみなさんにも、ダイヤを読み解くことの魅力が伝わったのではないでしょうか?
ダイヤについては様々な記事を作ろうと思います。鉄道ファンだけでなく、地理好きや歴史好きの方、地域活性、街作りなどに興味のある方にも楽しんでもらえるような記事にできればと思っています。よろしくお願いします。
とりあえず初めは関西五大私鉄(阪急・阪神・京阪・近鉄・南海)の一つである京阪の昼ダイヤを見ていこうと思います。様々ダイヤを取り上げようと思っているので、リクエスト等ございましたらコメントをいただけますと幸いです。